2011年4月9日土曜日

藝大生代表式辞

藝大生代表式辞



諸君、入学おめでとう。

年年歳歳花相似たり。歳歳年年人同じからずという言葉の通り、未曽有の震災が来ても、春が来れば上野に桜は咲きます。毎年この時期に諸君のように目を燦々と輝かせた夢に、希望に満ちた溢れた新藝大生がここ上野に咲き乱れます。そして毎年のように30倍の過酷な倍率をくぐり抜けてきた、君たちでさえ、その多くが実はたった一人の天才を磨くための石に過ぎない。と発破をかけられます。ここにいる全員が周りを見渡し、あぁ、こいつらって俺を磨くための石なんだと、全員が毎年のように思います。強い自信、傲慢、実にいい!最高だ。若いっていいねぇ。そんな矜持に満ちた藝大生が藝大をつくってきたし、今もこれからもつくっていくのですね。

秘すれば・花。秘せざれば・花・なるべからず。

花が、桜がなぜ美しいか?みなさん、知っていますか?、、、それはですねぇ、それは散るからなんです。みなさんが今この場で咲き誇れるのも散っていったもの達がいるからです。みなさんはその散っていったもの達を胸に秘め、これから、今まで以上に、より一層の精進を続けていかねばなりません。みなさんは散っていったもの達のことについて言及する必要はありません。ただ胸に秘め、自分だけの自分にしかできない藝術を示せばいいんです。散って本望だったと、みなさんは彼らに引導を渡せばいいんです。
千利休はかつてこうい言いました。野に花のあるが如くに。
天に星、地に花、人に愛、と世界には美しい調和の形があります。みなさんにはこれから大きな使命があります。それは今、この生まれ変わろうとしている日本中のすべての人に想像力を駆使して“もののあるべきかたち”を示すことです。それは星を見せることです。ホタルを見せることです。人に愛を届けることです。藝術という素晴らしい花を使って、人々にこの世の美しさを、感動を伝え、みんなを幸せにしてあげてください。


美に近づくには自分自身を美しくしなければなりません。いつも心に花を咲かせ、そして君の、君たちの花を、少しでも多くの人の心の中に咲かせてあげてください。日本を背負って、これからの日本に、世界に、花を咲かせることこそが君たちの仕事です。
どうぞ、美しい花をこころに咲かせる、美しい藝大生になってください。

入学、おめでとう。

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